マスクで顔が半分隠れたままの名刺交換。言動でイメージを膨らませていたのだが、のちに素顔をみて意表を突かれる。私たちは顔から相手の何を感じ取っていたんだろうか。コロナ時代で戸惑い続きの記者が、答えを探した。
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東京の下町の一角にあるアトリエ。足を踏み入れ、思わず身構えた。人間……。いや、よくできた仮面だ。おそるおそる手に取り、ゆっくり自分の顔にあてた。
「それは僕の知り合いの社長の顔です」。特殊メイクアーティストのAmazing(アメージング) JIRO(ジロー)さん(45)は数々のテレビ番組やCM、映画で作品を手がけてきた。
鏡をのぞくと、見知らぬ男性がいる。自分が別の人間の体を動かしているような奇妙な感覚に陥る。自分と他人の境界線が揺らぐ――。
特殊メイクでも表現できないもの
JIROさんは2018年夏、那覇市でお化け屋敷を開いた。お化けはみな、のっぺらぼう。リタイアする人が続出したが、のっぺらぼうは今の時代を反映したような存在だという。「ネット上のやり取りも相手の顔が見えない意味では、のっぺらぼう。相手は別の人かも知れない。結構怖いことじゃないかと思うんです」
SNS全盛だからこそ、顔が見える関係に意味を感じるのか。思いを巡らせていると、興味深いことを教えてもらった。
- ひとは顔から何を感じ取る?
- 記事の後半では、絵本や仏像の世界からもヒントを探ります。
「特殊メイクで表現できないも…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル